スタイリッシュ闇鍋!二大コア漫画、『ドロヘドロ』と『チェンソーマン』の共通点とは?

週刊少年ジャンプで連載していた藤本タツキの『チェンソーマン』。
本作はスタート時から林田球の漫画、『ドロヘドロ』を彷彿とさせた。
『ドロヘドロ』は知る人ぞ知るマイナーメジャー作品の位置付けで、血肉が飛び散り臓物が露出する容赦ないゴア描写を盛り込みながらも、ほのぼのしたキャラクターの掛け合いやグルメ描写が人気を集めていた。
しかしスタジオMAPPAによるアニメ化をきっかけに一気に知名度が上昇、より多くのファンを獲得した。

今回は『チェンソーマン』と『ドロヘドロ』の共通点とは何かをテーマに、両者に通底する魅力を探っていきたい。

『チェンソーマン』|集英社『週刊少年ジャンプ』公式サイト

アニメ『ドロヘドロ』

共通点その1 人の命がとても軽い

まず『チェンソーマン』と『ドロヘドロ』の共通項として言及したいのは、登場人物が死にまくる点。それも臓物がでろんと露出するグロい死に方だ。
これも後に述べるが、両作とも悪魔が存在する世界の話で、一度死んだ人物も割と簡単に生き返ることが可能である。
そもそもの前提として、キャラクターの大半がタフで不死身でダイハード。
『チェンソーマン』のデンジや魔人たちがほぼ致命傷を負ってもすぐ甦るように、『ドロヘドロ』には回復のエキスパートの魔法使いや時を巻き戻す魔法使いがおり、死が不可逆的な現象として捉えられていない。

その為か、とにかく両作のキャラクターは出し惜しみせずザクザク死んでいく。

登場人物の死に悲愴な重みを持たせず、あえてテンポよくポップに見せることで、どんなハードな展開が続いても不思議と読み進められる。

共通点その2 悪魔が物語の根幹に関わってくる

『チェンソーマン』と『ドロヘドロ』を語る上で悪魔は切り離せない。前者にはあらゆる名前と概念が付いた悪魔が存在し、人類を脅かす異形として描かれている。
対して『ドロヘドロ』の悪魔は随分人間くさく親しみやすい。
というのも、彼らは元々魔法使いなのだ。チダルマのような地獄生まれの悪魔もいるが、過酷な修行に耐え抜いて試験に合格すれば、魔法使いでも悪魔になれるとあって『チェンソーマン』ほど理解不能な脅威としては描かれてない。しかしやってることは同じ位厄介で、愉快犯の側面が強い。

また、両作とも悪魔と契約を交わす行為が重要な意味を持っているのに注目してほしい。

共通点その3 男女バディの活躍を描いている

『チェンソーマン』では公安デビルハンターの面々が、『ドロヘドロ』は煙ファミリーおよびニカイドウとカイマンが男女バディを組んでいる。
男と女のペアなら長期間行動を共にする中で恋愛感情が発生してもおかしくないし、実際姫野は相棒のアキに好意を持っていたが、彼らの在り方は必ずしもカップルの枠組みに縛られない。
デンジとパワーが終始友達で疑似兄妹の間柄だったように、ニカイドウとカイマンも最終的には親友に落ち着いた。

男主人公が複数の女性キャラクターに恋愛感情を寄せられる少年漫画は少なくないが、デンジの場合はレゼのみ。結局マキマはチェンソーマン以外アウトオブ眼中、パワーもデンジを友人と定義していた。

何でもかんでも恋愛にこじ付けず、対等な関係を描いているところが好ましい。

共通点その4 地獄と繋がる扉?ドアがメタファー

最後に挙げる共通点は、両作ともドアが重大な役割を果たすところだ。『ドロヘドロ』にて、魔法使いたちは魔法の煙で専用のドアを出し、自分たちの世界とホールを往復する。このドアのデザインがキャラクターごとに異なっているのが細かい。
『チェンソーマン』ではデンジの悪夢や回想にドアが現れ、近付こうとする都度『開けちゃだめだ』とポチタの声に制されていた。
デンジの前に現れたドアの向こうには、彼が酒乱の父親を殺害した記憶が封じられていたのだが、『混沌と分け隔てるもの』として象徴的にドアが使われているのが面白い。

作者も認めた?『ドロヘドロ』と『チェンソーマン』の偶然にして必然の一致

以上、『チェンソーマン』と『ドロヘドロ』には偶然か必然か数多くの類似点が散りばめられている。
作者の藤本タツキ自身、アニメ化決定時に「ドロヘドロと呪術廻戦のパクりみたいなチェンソーマンをドロヘドロと呪術廻戦のアニメ制作会社がやってくれるんですか!?そりゃもう何も言う事ないじゃないですか!! どうかよろしくお願いします!!」とツイートしていた。

軽やかな疾走感をウリにするロックが『チェンソーマン』だとすると、『ドロヘドロ』は煮込めば煮込むほど味がでるヘヴィメタル。
未読の人はぜひ読み比べてほしい。

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